6畳1間のあめ

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【読書】嫌われる勇気 と 村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』

いわゆる自己啓発本だと思うのですが、日本ではあまり聞かれないアドラー心理学の教えを説いたこの本。欧米では非常にポピュラーな心理学だそうです。

 

 

腑に落ちない部分というのはどんな本を読んでも出てきますが、この本を読んでももちろん出てきます。各人の受け取り方次第だとは思いますが、私はよい本だと思いました。特に機能不全の家庭で育った人や大きな病気、障害をもっているような人には納得しがたい内容に思われます。しかしそういった諸々の理由含めて、「今よりより良い自分になる。「今」を一生懸命に足掻く」ということを本書では言っているのだと思います。

 

われわれは「いま、ここ」しか生きることができない。

人生とは、いまこの瞬間をくるくるとダンスするように生きる、連続する刹那なのです。

と本文中に挙げられています。ここで私は村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を思い出しました。村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』にも以下のようなセリフが出てきます。

上 P.164 : 羊男
「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

 

他には目もくれずできる限り踊る=今をめいっぱい生きる 

村上春樹が今を生きることの暗喩で踊ることを選んだのかは分かりませんが、偶然にも同じ言葉で同じことを表現しています。

 

 

私のようにどうやって生きて行ったらいいか五里霧中にいるような人間には、ひとつの指針となるよい本でした。