6畳1間のあめ

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【読書】『神戸・続神戸』西東三鬼

歯科医でありながら詩人としても名を遺した著者の作品。森見登美彦のエッセイ『太陽と乙女』に登場し興味を持ったので読んでみました。本の帯によると「おすすめ文庫王国2020」年間最優秀文庫編集者賞の受賞作品だそうです。

 

神戸・続神戸 (新潮文庫)

神戸・続神戸 (新潮文庫)

  • 作者:西東 三鬼
  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: 文庫
 

 

面白い。

あらすじ

第二次大戦下、神戸トーアロードの奇妙なホテル。“東京の何もかも”から脱走した私はここに滞在した。エジプト人、白系ロシヤ人など、外国人たちが居据わり、ドイツ潜水艦の水兵が女性目当てに訪れる。死と隣り合わせながらも祝祭的だった日々。港町神戸にしか存在しなかったコスモポリタニズムが、新興俳句の鬼才の魂と化学反応を起こして生まれた、魔術のような二篇。解説・森見登美彦

 

1話1話がゆるやかにつながった短編集のような作りで読みやすかったです。小説のようにストーリーがあるわけでも緻密な心理描写があるわけでもないのですが、そこにはっきりと感じられる空気感は素晴らしく、特に「神戸」の良さは秀逸でした。個性が飛び出した様々な登場人物がどのように生きたか、その断片が描かれています。

 

少し時間をおいてから再読します。

 

 

太陽と乙女(新潮文庫)

太陽と乙女(新潮文庫)