6畳1間のあめ

ハンドボールとか音楽とか雑記とか。

【読書】『ぼくは猟師になった』千松信也

京都大学卒で猟師になった方の本。運送会社で働きながら猟師をする現在40代の方。生い立ちから猟師になるまで、猟師としての活動や実際の狩猟方法、捌き方や食べ方、暮らし方について分かりやすくユーモアも交えて描かれていた。

 

ぼくは猟師になった (新潮文庫)

ぼくは猟師になった (新潮文庫)

  • 作者:千松 信也
  • 発売日: 2012/11/28
  • メディア: 文庫
 

 

私は狩猟というものに興味を持ったのがここ4年ほどで、本を読んだり狩猟免許の取り方を調べてみたりする程度で、実際に何か活動をしたことがあるわけではないのだけど、とにもかくにも「狩猟」というものに興味関心があり、いつかはやってみたいと思っている中でたまたま手に取りました。読了後ネットで調べたら、この方を追ったドキュメンタリーがあったり、2020年8月には映画が公開されるなどとてもタイムリーな読書でありました。

映画公式 https://www.magichour.co.jp/ryoushi/

よくよく見たら著者のTwitter@ssenmatsu)もフォローしていた。

会って話をしてみたいなぁ。「自分で食べる肉は自分で責任をもって調達する」ために猟をしているっていうのが、すごく共感できてよい。

 

さて、内容としては、猟師になるまでの生い立ちが様々なエピソードを通じて紹介され、著者の豊かな人間性を垣間見つつ幼少期から大学生活へと進みます。この時点でただぼんやり生きてきた私とは全く異なるアグレッシブさに驚嘆でした。そして狩猟との出会い。使っている罠の図解イラストや、カラーの写真付きでイノシシの解体・精肉過程を紹介していたり罠にかかったシカが次のページでハラ抜き(内臓をとること)されていたりと読みごたえも十分です。そして獲った獲物の様々な調理の仕方や味が本音で語られており、食のアンテナを刺激されます。後半にはカモや雀の狩猟方法と食べ方、休猟期の野草や川・海の生き物の取り方など狩猟以外の採取生活が書かれており、こちらも大変魅力的な内容となっています。

 

コロナの影響で家庭菜園など一人で黙々とできる趣味が脚光を浴びていますが、それとは異なり、既にある自然の恵みを使い、日々の生活に取り入れていくことは自然とのダイナミズムが感じられます。野草の知識も、狩猟の知識も、実際にそういった生活をしていることも、全てが羨ましく、興味深いです。お風呂が自作するまでなかったところだけは羨ましくありませんでしたが……

 

「狩猟をしている時、僕は自分が自然によって生かされていると素直に実感できます。また、日々の雑念などから解放され、非常にシンプルに生きていけている気がします」とあとがきにありました。現代社会に馴染めない私としては、今の生活を捨て、この方のように自然に生かされることを感じながら生きていきたいと思う次第であります。栃木の田舎に帰りたいな。

 

ぼくは猟師になった (新潮文庫)

ぼくは猟師になった (新潮文庫)

  • 作者:千松 信也
  • 発売日: 2012/11/28
  • メディア: 文庫
 
自分の力で肉を獲る  10歳から学ぶ狩猟の世界

自分の力で肉を獲る 10歳から学ぶ狩猟の世界

  • 作者:千松信也
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: 単行本
 

狩猟し解体・精肉と命を食べていることを子ども向けにより分かりやすく記した作品。 大人が読んでももちろん面白い。