とてもよい作品でした。
映画『君の名は。』でその名を世間の隅々まで行き渡らせた監督の昔の作品を観ました。ちなみに『秒速5センチメートル』『雲のむこう、約束の場所』等もろもろ観てません。ほしのこえは発売当時漫画で買って読んだけど。
見終えた直後の感想
疑問と不満は残るけど、間違いなく心動かされる部分があったし、良いものに出会えたいい気分になれました。テーマ曲の秦基博のrainで、秦基博の良さも再認できました。
— のどあめ (@nodoame3) 2018年1月12日
さて感想。
何を際し置いてもまず映像の美しさは息をのむほど。雨がテーマの1つなので、雨の描写や水の描写は抜群で、映像による雰囲気を楽しむ作品という印象です。様々な種類の雨から、そのシーンの匂いを感じると思います。そして、写真かと思うような美麗な描写にアニメーションの良さを十分に凝らし、本物以上に本物感が出ており1枚1枚の画面から迫力を感じます。
ストーリーは余白が多いというか、46分という短さのためか、急展開と物足りなさを感じました。しかし、後半になり雪野が学校の先生だと分かることで、視界がパッと開ける展開は素晴らしいと感じました。
また、交わす言葉(万葉集の短歌)やお互いの認識など「すれ違う」ことがストーリーの根幹だと思うのですが、そのすれ違い故に近づき、皮肉にも素直になることで離ればなれになる展開は、観ていて苦しくなる程ですが、おもしろい部分の1つでしょう。
ラストではタカオが雪野のために作った靴が出てきますが、1つの完成が出来たことで2人が「進んでいく」ことが表されていると思います。2人が結ばれたり、気持ちに区切りがつくようなシーンは出てきませんが、このことから少なくとも2人とも前に進んでいくんだろうなと思えて救いがあり、後味が悪いものにならずに済んでいます。(恋愛ものとしてみるとハッキリしないからもやもやしますけど)
またEDテーマ曲は秦基博が大江千里の「Rain」をカバーしています。秦基博の声の美しさが映像と合わさって際立ちます。最近流行のハイトーンボイスとは異なる嫌味のない透明感のある声と力強さが、作品の世界観にあっており深みを加えてくれると思います。
映像や音楽などの雰囲気から叙情的な作品となっています。短いので忙しい日々を過ごす方にもお勧めできるものですので、是非ご覧ください。
疲れていたり大人になってくると、「新しいもの」を手に取るのがめんどくさくなってきます。それでも新しいものを観たり聞いたり体験したりしないと、どんどん腐っていくなあと実感しているなか観た作品ですが、しっかりと心を揺さぶってくれて、すっきりできました。新しいことには恐怖も付きまといますが、自分が停滞しないためには必要不可欠なモノなので、この体験を忘れず生きていきたいです。