100万回生きたねこ で有名な方のエッセイ。もらったので期待しないで読んだら、ものすごく良かった。
エッセイってその作者さんが好きだから読むことが多いと思うのね。その人の視線や表現が好きだったり、その人自体をもっと知りたかったり。でも全く知らない人のエッセイを全く興味を持たずに読んで、それが面白いだなんてなんて幸せなことでしょう。
おもしろい話が多い中で、こころに残った部分を1つだけ紹介することにします。
「男はひとりいればいい」という話のひと段落の中のさらに一文。すてきな男が世の中にニョキニョキ生えて来ても、それが自分の男でなかったら、やたら腹がたって、指をくわえて見ているのは嫌なもんである。私の男が私にとっていい男であればいいのである。
この心持である。私の男が私にとっていい男であればいい、だなんてとても素敵なことだと思う。他の女の男と比べたり、あっちの男と比べたり、世間の基準と比べてみたり、そんなことをしたって嫌な気持ちになるだけである。自分にとっていいとさえ思えれば、男は1人いれば十分なのである。そういう相手を見つけ、そういう風に扱えばきっとうまくいくんだろうな、と思ったら、作者2回も離婚してるのね。返せよ俺の感動。
この本の1話目は「ふふふ、痛いのよー」というタイトルで、子どもを産んだ時のことが書いてある。あまりの痛みにセックスをしたことさえ恨みながらの出産となるが、なによりも不気味だったのが、すっぽんと生まれた瞬間に、オギャーという泣き声と共に、おー赤ちゃん、私のかわいい赤ちゃんという気持ちが、爆発したことだという。続く文が、
これ何?私のそれまでの秩序は全部崩壊した。
である。
どれだけことが赤子をひねり出した(まさしく膣から出てきたその時に)時に起こるのだろうか?私は一生ひねり出す機会をもらえないので残念だが、そう思えるくらい子どものことを愛そうと決めてはいる。
次はこれ読もうと思っています。