6畳1間のあめ

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【読書】 パイロットフィッシュ 大崎善生 は透き通ったアクアリウムを感じる美しい文章

 

 初大崎善生

 

 うっすらと雨がふるような靄がかかった小説。設定が練り込まれているというより、雰囲気を抜群によう作ってある。記憶と愛が物語の主軸で、美しい言葉が散りばめられた雰囲気のある小説です。どことなく村上春樹ちっく。

 

 何年経ってもふとした時に思い出すあのころの感覚。もう2度と戻れないけれど、過ごした時間の一つ一つが今の私を作っているようにあの人の人生にも私との記憶が存在し続けている。

「人は一度巡り合った人と二度と別れることは出来ない。なぜなら人間には記憶という能力があり、否が応にも記憶と共に現在を生きているからである。」

 

 性描写が多いですが、淫らではなく物語の一部として描かれています。主人公はおっさんだけど、青春小説です。