6畳1間のあめ

ハンドボールとか音楽とか雑記とか。

【読書】 神様のボート 江國香織 はキチガイもどきの母親と早く成長しなければならなかった娘の漂流

 

  本作は静かに静かに話が進み、最後に少しだけ物音を立てて終わります。単調でつまらない話ではなく、静かだからこそ狂気が引き立つのです。そういう類の物語です。母の話であり、娘の話であります。母よりもぐっと今を生きて大人にならなければならない娘のセリフや、行動に心動かされます。

 

 静かに確実に変わることなく進む母の思いと、次第に変化する娘の心。同じ時間を生きていく二人が向き合うものや、これから見ていくものなど少しづつ変化がでてきて面白いです。

 

 桃井先生とあの人が回想に出てくるのだけどなんとなく区別がつけにくいし、あの人が生きてるんだか死んでるんだかも分からないし、最後も会えたんだが死んだんだかハッキリしない(ような気がする)。

 悪くないからもう1回は読みたいけど、なんというかぼんやりした小説。