6畳1間のあめ

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【読書】『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子

 先日読んだ浮遊霊ブラジルと同一の著者。完全にたまたま。こちらは2年くらい前に買ったのですが読まずにおり、このたび無職になり時間ができたため読みました。何もしていないと焦燥感や罪悪感で死にそうになるのでとにかく本や映画を観て頭を切り替えていないとヤバいという理由で手に取っており、流れでブログを書いているのでここ数日の更新頻度が高いのです。

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

 

連続して津村記久子作品ですが、こちらがデビュー作。私はデビュー作が一番その作家の良い作品であると信じているのですが、本作もまた然りでした。ググったところ2021年公開で映画化するそうです(https://www.kimiwaka.com/)。

 

主人公の独白というか思考がそのままつらつら書かれていて、そこに会話だったりが紛れ込んでくるので最初少し読みにくいですが、独特の文体と相まって個性を醸しています。だるい日常、捨てられない処女、発展性のない友情、バイト先のこと、拗らせた大学生の日常を軽やかに書く一方、暴力、ネグレクト、悲哀といった社会問題が紙一枚隔ててぶっ込まれてくるので油断ならない。それもまるでただの日常のように穏やかに何でもないように書かれていて、ボケっと読むと人の頭の中をチラッと見せてもらった白昼夢のように思われるかもしれないです。

 

主人公の衝動性や取り繕ってしまうところといった人間性が読んでいて恥ずかしくなるほど分かってしまって途中苦しくなりました。少し展開が飛んだりつながりが薄かったり気になるところはありますが、一気に読んでしまいました。昔だったらつまんねーって言ったかも知れませんが、今の自分にとっては時間をおいてもう1度読みなおしたい本だと思います。