氏のデビュー作「神様」を収録した短編集。
全編現実味があるのにすごくメルヘンで、言うによっちゃあ小説なんだんけれども、読んでいる最中には「ああ、こんなことあるよね、あったらいいよね」と思ってしまう。
三つ隣に昔かたぎな熊が引っ越してきて、その熊とピクニックに行く。それが「悪くない1日だった」で締められる。もうこれだけで読む価値がありそうですよね。
もちろん短編集なので他にも話が入っていて、ほんわかしたり切なくなったり、ちょっとひやっとしたりしんみりしたりと、悪くない感情を体験できるいい話ばかりはいっている。
現実と非現実、時間と空間、色々なモノの境目が溶けて交じり合うなかでエロティックと温かさが味わえるいい本だと思います。何から本を読んでいいか分からないという人にも勧められる本です。
川上弘美といえば、こちらも有名。こちらは胸を締め付けられるような切ない恋愛小説。初老(40歳頃)にかかる年齢になると、分かるものもある。