「じゃべれどもしゃべれども」などの佐藤佳代子の作品。青春ものだけど、「甘酸っぱい恋愛」という本ではない。
いきなりあとがきの話からになりますが、「黄色い目の魚」は10年前に短編として発表した作品であり~~いざ短編を並べてみると、さすがに10年前の作品は微妙に違うけれども、書き直すと壊れてしまう気がして、そのままの姿で残しました
と、ありました。おかげでこちらは読みにくいしクオリティの低い作品だポッと挟まれたように感じて読み進めるのが億劫になってしまいました。
内容自体は面白くて、高校生らしい瑞々しさや感じ方が満載で良かった。感情の触れ方や絵に対する取り扱いが良くて読みやすい。
しかし、高校生がバーでお酒を飲んだりさくっとセックスしてたりサッカーの見学してたり不可解な点もある。(フィクションだからあまり細かい点に難癖をつけるのは無粋だけれども)
それでもこれくらいの年頃だと、「誰も自分を理解してくれない」と思ったり、突然家を出たくなってあてもなくフラフラとしてみたり、ひとりだけ取り残されていくような気もちになったり、得体の知れない不安やもどかしさに駆られたりという青春の衝動みたいなものがあって、そういうのを丁寧に描いているので好感がもてました。