6畳1間のあめ

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【漫画】面白いけど素直に楽しめないorange(月刊アクション 高野苺 全5巻)

 

 感動の青春SFラブストーリーとか反吐が出たうえ蕁麻疹が全身にできて穴という穴から緑色の何かが出てきそうなキャッチフレーズの漫画が巷で人気がちょっと出たみたいで、しかも何を間違ったか読んでしまったのでその感想。でも恋愛ものって好きなんだよな…「キュンッ」ってなるじゃん。

 

 

www.futabasha.co.jp

 

 映画もやってるそう。主題歌はコブクロだけど、コブクロ自体には1㎜も興味がない。最近は漫画原作の映画やらドラマがホント多いな!

 

 

orange-オレンジ-

orange-オレンジ-

 

 

 きちんと流行っている時にそれに手を出すなんて、映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」振りです。感動だとか泣けるだとかそういう感想が飛び交う漫画も映画も大っっっ嫌いなのですが、漫画に罪はないし、ニートで時間はあるし、奥様が借りてきてくれたしで漫画全5巻を読みました。

 

 あらすじなどは他に譲るとして、1巻を読んだ段階ではさして盛り上がるようなもんでもないなぁと思いました。未来では翔が死んでしまって後悔ばかりがあるから「未来からの手紙」を使って今の私は適切な選択肢を選んでいって、未来に対して上手くやれたよありがとうって話か~って勝手に想像していました。

 

 しかし、「未来からの手紙」をおっかなびっくりしながら使うたどたどしさと、菜穂の性格が組み合わさって、「未来からのお願い」通りに進まなかったりとドキドキさせます。現在を生きる菜穂らの日常と、未来と現在がちょっとずつズレていたり先に期待を持たせます。そして2巻で「未来からの手紙」が菜穂以外にも届いていると分かった時からこの漫画の面白さが出てきます。

 同時にSF要素の未来の部分についても色々と明るみになります。パラレルワールドや未来からの手紙などSF要素の理論は糞弱いのですが、そこは然したる問題ではないので目をつぶりましょう。メインは菜穂と翔の恋模様なので。

 

 3巻になると登場人物全員に「未来からの手紙」が来ていることが分かり、話も終盤に向けてのきっかけが展開していきます。そして4巻頃から恋と共に『押しつけがましい親切』が目立ち始めます。翔の死を避けるためにどうにかこうにか取り組むわけですが、私にはそれが鬱陶しいように感じられました。それが現在パートにおいては「この人らはなんでこんな自信を持って悩んでんだろ!頼れよ!」って翔が疑問を持ってもおかしくないんじゃないか、頭どうなってんだ?と思ってしまいちょっと身が入りません。

  でもそれを補うくらいに翔は暗い。生に対しての執着が薄いことが様々なシーンから伝わるのです。

 

 読者としては未来では翔が死んでしまっているし、主人公のバックグラウンドも悲惨だしで、作者が「泣かせよう」「感動させよう」としてるんじゃないかと勘ぐってしまう点があります。

  最終5巻で菜穂が勇気を出してきっちり思いを伝えられて、翔が生きたいときちんと口に出すし、未来から手紙があったと翔にネタバレもするし、未来パートは未来パートで救いがあるし、なんやかんや綺麗にまとまったなぁと思います。

 

 押しつけがましいように私が感じる優しさも、友情とか死なせたくないっていう強い思いがあってのもので、希薄な人間関係を送ってきたドライな私にはなかなか理解しがたいものですが、人間関係において他人に一生懸命になれるっていうのはすごいことだと思います。

  それにしても、翔が菜穂のことが好きっていうのはどんなに恋愛経験が無い人間でも分かりそうなものなのに、作中の菜穂の態度には疑問が湧きます。(お互い好きと確認済みで)手を出されて、「なんで手を出されたか分からない」って病気かよ。つなぎたいって分かるじゃん。そういう小さなイライラがこの女には募ります。そう、ドキドキではなくイライラが募ることが多いのです。じれったいとかもやもやするっていうのは漫画を読んでいて必要な要素なんですが、度が過ぎるとだめですね。

 

 全5巻とお手頃なので、面倒くさいと思わずに読めます。ちょっと癪に障るけれど、友情と青春ものとしてはよく描かれていると思います。

 

 

orange コミック 全5巻完結セット (月刊アクション)

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