読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

6畳1間のあめ

ハンドボールとか音楽とか雑記とか。

【読書】武者小路実篤 って名前かっこよすぎる件

 

 大学生の頃ちょっとだけはまった武者小路実篤を再読。この人の本は平易な文体で重苦しいことを丁寧に書いてあるから好きです。

 

 

友情・愛と死 (角川文庫)

友情・愛と死 (角川文庫)

 

 

 『友情』を読みました。

 

 内容は多くの方がご存知の通り、友情と愛の間に挟まれた人間と恋に破れた人間がどうするのかという健全な青春文学作品。奇天烈なものやドロドロした愛憎劇ではない、「好きだ!」という前の段階の恋模様を描いた作品です。

 

 主人公野島も大宮も、文学に対する純然な思いや、いい仕事をしなければ不自然だという誇りや決意が読んでいて気持ちがいいです。以下私の中での解釈。

 

 文壇にも認められ始めている新鋭作家大宮は、家は金持ちで運動神経もよく、見た目も質実剛健で勝手にモテてしまうチートキャラ。一方主人公の野島は世間的には無名のヒョロガリ、若干コミュ障気味の陰キャラである。そんな野島が綺麗どころの杉子に恋をしちゃってもう大変。好きとなったらはい結婚、で俺だけを頼ってくれ!って完全童貞な発想で親友大宮に色々相談をするのだけど、そこは天下の大宮さん。話も合わせてくれるし様々なチャンスも演出しアシストしてくれる。

 けれども、童貞でコミュ障な野島くんはそのチャンスでもQBK(急にボールがきたので)で悉くスルー。そうこうしている間にお熱の杉子ちゃんは大宮くんにお熱。モテ男の大宮くんはいち早くそのことに気が付き、友情を優先し杉子ちゃんに敢えて冷たくすることで自分の気持ちと相手に諦めを誘う。ところがどっこい、冷たくされると燃え上がっちゃうのが女ってもんで、処女の杉子ちゃんも例外に非ず。

 それでも天下の大宮君は友情を優先し、ヨーロッパへと旅立ち物理的な距離を設ける。ちなみにその間に野島君は一世一代の大勝負、結婚の申し込みを杉子ちゃんの家にするけれどもあえなく撃沈。金のない脳みそばっかり達者な不細工に、大切な娘はやれませんよ。

 当の杉子ちゃんは冷たくされる上にヨーロッパにまで行ってしまった大宮君にまだ夢中。彼のことを思うと股間のあたりがムズムズしちゃって夜毎自慰に耽ってしまう状態で、愛の手紙を書きまくり。手紙の上でも野島を勧めてくる憧れの大宮くんにもめげず、あの人の愛はありがた迷惑ですと野島君がみたら出家してしまうような文句だってバシッと書いてしまいます。

 もとより愛くるしいお顔の杉子ちゃん、適齢になるにつれその美しさには磨きがかかり、自分の美しさを自分でも理解したので大宮君にぽいっと写真を送る。ちょっと見ない間に土下座してでも抱きたいほど美人になった杉子ちゃんに、さすがの大宮君も股間が斜塔になって非常にパリジェンヌ

 野島にも果たすべき義理は果たしたし、もう好きに裁いてくれて構わないから俺は杉子とセックスする!俺は愛を得て立派な人間に、野島は孤独に孤独を重ね立派な人間に!というとんでも理論でついに陥落、夜毎中だし祭りだわっしょいわっしょい。

 杉子ちゃんとの愛の文通を冊子にした若気の至りの塊を野島君に読ませる大宮君。鬼畜の所業です。

 親友にガッツリ裏切られ泣き喚いた野島くん、孤独に耐えてきたのに、この上全く一人で孤独に耐え続けていかねばならぬのかと嘆く。神よ助け給え。これが彼の最後のセリフになりました、めでたしめでたし。